22WA114 福田義斗

Introduction

 

1990年代の日本において、ビデオゲームに没頭する人々は「オタク」と呼ばれ、ときに否定的な評価の対象となってきた。当時、ゲームは一部の愛好家によるサブカルチャーにとどまり、社会の主流として認識されることはほとんどなかった。しかし、2000年代以降のインターネットおよびスマートフォンの普及は、ゲームの在り方そのものを大きく変化させた。基本プレイ無料(F2P)のオンラインゲームが広く浸透し、年齢や性別を問わず多くの人々が日常的にゲームに触れるようになっている。

世界中で人気のオンラインゲーム「Fortnite」 2026年現在のプレイヤー数は約2億人!(ActivePlayer.io. (2026). Fortnite player count and statistics.)

こうした変化により、ビデオゲームは単なる娯楽を超え、社会的・文化的な影響力を持つ存在へと位置づけられつつある。一方で、その急速な普及は、依存や健康問題といった新たな社会的課題も浮き彫りにしている。ビデオゲームは肯定的側面と否定的側面の両方を併せ持つ複雑な対象であり、社会との関係性を多角的に捉える必要がある。

本研究では、現代社会におけるビデオゲームの位置づけを明らかにするため、以下の観点から考察を行う。

・プロゲーマーの登場に象徴される、ゲームとキャリアの結びつき
オンラインゲームがもたらす課題やリスクとその影響

ゲームの一般化とプロゲーマー

League of Legendsのプロゲーマー、Fakerとプロサッカー選手のソンフンミンが出演するWeb広告→Link

韓国では、オンラインゲームおよび*eスポーツが社会的に高い評価を受けており、プロゲーマーは専門的職業として確立された地位を有している。その代表的事例として、League of LegendsのプロゲーマーであるFakerが挙げられる。Fakerは、韓国を代表するサッカー選手ソン・フンミンと並び、企業広告や公式プロモーションに起用された実績を持ち、プロゲーマーが伝統的スポーツのトップアスリートと同等に扱われていることを示している。このような社会的承認は韓国国内にとどまらず、近年では国際的にも拡大している。

*eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には電子機器を用いて行う娯楽や競技、スポーツ全般を指す言葉である(日本eスポーツ連合, n.d.)。

Esportsが発展しているのは韓国だけではない。サウジアラビアではEsports World Cup(EWC)が世界最大規模のeスポーツ大会の一つとして急速に存在感を高めている。2025年大会では、総賞金総額が7,000万ドル(約100億円)を超える記録的な規模となり、25のトーナメントと24の異なるゲームタイトルにおいて、2,000名以上のトッププレーヤーと約200クラブが国際的に参加した。この規模は、eスポーツが単一タイトルの競技を越えて総合的な産業として成立しつつあることを示しているだけでなく、観客動員数が3,000,000人を超えるなど地域に与える経済的・文化的インパクトも大きい。さらに、サウジアラビアの国家戦略としてeスポーツを位置づけ、数万規模の雇用や数十億ドルのGDP寄与を見込む動きは、ゲーム産業が国際的に戦略的価値を持つことを裏付けている。

オンラインゲーム特有の依存性

オンラインゲームは、終わりのないプレイ体験やプレイヤー同士のコミュニティ形成により、依存傾向を生じさせるリスクがある。また、特に未成年者においては、サイバーいじめや心理的悪影響をもたらす可能性も否定できない。こうしたリスクの具体例として、Robloxが挙げられる。Robloxは、ユーザーが自分でゲームを制作・共有し、他者のゲームに参加できるオンラインゲームプラットフォームである。Adithya & Hastuti(2026)は、Robloxへの依存傾向が高いほど心理的ウェルビーイングが低下するという有意な負の相関関係を示し、Robloxの依存傾向が心理的健康に悪影響を与え得ることを示している。実際、こうした懸念を背景に、インドネシアでは規制措置が実施されている。

"The results indicated a significant negative correlation between Roblox addiction and psychological well‑being (r = −.752, p < .01), suggesting that higher addiction levels are associated with lower psychological well‑being."

実際のゲームプレイの画像

以上の身体的・精神的なゲームの悪影響を考慮すると、手放しにeスポーツを推進するのは難しい。実際のスポーツと異なり、健康増進の効果が得られない点も大きな欠点である。さらに、ゲーマーのキャリア形成にも課題がある。例えばサッカーでは、現役引退後に地方のジュニアチームでコーチとして働く道がある。しかし、ゲームはタイトルごとにルールが異なるため、長期的なキャリア形成が難しい。一部のトップ層を除き、プロとして生活できないプレイヤーが多く存在するのが現状である。結果として、プロになれなかった人が「ゲーム依存症」という烙印を押されてしまうこともある。では、このような状況を改善するには、どのような方策が考えられるだろうか。

今後の解決策とオンラインゲームの未来

コーチングによるセカンドキャリアの構築は、現段階では難しい。いくら大会数が増えても、eスポーツの歴史はまだ20年ほどに過ぎず、安定したキャリアとは言いがたい。そのため、ゲームに関連しつつ他分野でも活かせるスキルを習得できる環境を整えることが望ましい。現状の eスポーツ業界に対する世間の理解は十分とは言えず、コメンテーターや機材スタッフなどの運営スタッフがゲーム知識に乏しいことも少なくない。こうした状況において、ゲーム業界に携わってきたゲーマーの経験や知識は大きな強みとなる。彼らは適切な知識を活かし、より効率的にチームや運営に貢献することが可能である。
実際、セカンドキャリアの事例として、アメリカの大学では元プロゲーマーや学生ゲーマーがチームコーチや運営スタッフとして就職する例が報告されている。Ohio University のニュースによれば、「学生はプロ選手以外にも、コーチ、チームマネージャー、マーケティングやコンテンツ制作など、eスポーツ関連の多様な職種を目指すことができる」とされており(Ohio University, 2025)、プロとしてのキャリアを終えた後もゲーム知識を活かして社会的に価値ある職業に就く道が存在することが示されている。

結論

前述のように、近年のオンラインゲームの発展は目覚ましい。大きな市場が形成されているのは確かだが、同時に大きなリスクが伴うことも理解する必要がある。いちゲーマーとしては、ゲームが他のスポーツのように市民権を得て、それだけで生活できる環境が整うことが理想である。そのためには、持続的で健全な運営を目指さなければならない。特に、依存症に対する対策は急務である。
日本でも、札幌で今年1月に大きなゲーム大会が開催され、盛り上がりを見せた。このような流れを絶やさないためにも、丁寧で安全な運営が求められるだろう。

参考文献

・ActivePlayer.io. (2026). Fortnite player count and statistics. ActivePlayer.io. Retrieved January 23, 2026, https://activeplayer.io/fortnite/

Heath, J. (2020, August 24). Faker stars in SK telecom 5GX commercial with Tottenham’s Son Heung‑min. Dot Esports. Retrieved January 23, 2026, https://dotesports.com/league-of-legends/news/faker-sk-telecom-5gx-commerical-son-heung-min

Esports World Cup. (n.d.). Esports World Cup official site. Retrieved January 23, 2026,  https://esportsworldcup.com/en

Adhitya, A. R., & Hastuti, R. (2026). Roblox addiction and psychological well‑being in Generation Z. INSPIRA: Indonesian Journal of Psychological Research, 6(2), 131–137. https://www.researchgate.net/publication/399467831_Roblox_addiction_and_psychological_well-being_in_Generation_Z

Semancik, A. (2025, October 13). For students entering the $4 billion esports industry, OHIO offers a competitive advantage. Ohio University News. Retrieved January 23, 2026,  https://www.ohio.edu/news/2025/10/students-entering-4-billion-esports-industry-ohio-offers-competitive-advantage/